世の中に本が溢れている。
整備された最新の機械がラインを作り、
何千部、何万部もの本が瞬時に作られていく。
本を作る事そのものがあたりまえになるばかりか
時代はさらに、その先を行こうとしている。
今、製本にもとめられることは何か、と私たちは考える。
コストか。
効率か。
もしくは信頼性か。

本は小さな建築物だ。
綴じ方、素材や加工の組み合わせで、
千差万別に姿を変える本の構築には
綿密な設計と技術が必要になる。
私たちが作る本は単なる消耗品ではない。
ページの開きの美しさ、一冊の本としての
まとまりがあって初めて本はプロダクトになりうる。

だから手間は惜しまない。
一冊、一冊に先人達から培った技術を
最大限に活用する。
例えば糊付けの刷毛の塗り方一つをとっても、
表紙のノド元に入れる溝入れの精度も
職人の手業を必要とする。
私たちが大事にするのは
美しい本を作る手業の技術そのものだ。
伝統があるから、技術を継承できる。
技術があるから新たな技術を思いつく。
私たちは日々、私たちにしかできないものを
ふやしていくのだ。
作れないものはない。
伝統こそ私たちの未来である。